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お育ちのいい夫にてこずる妻日記。エコだったり毒舌だったり。

2025-01

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ドイツでは誕生日のお祝いというものを重視する。

幼稚園では誕生日会を必ず行う。

知り合いの小学校では、さすがに個別にはしないけれど

毎月、生まれ月の子のためのお誕生日会があるらしい。



日本人が想像する、幼稚園での誕生日会とは

幼稚園側でケーキやお菓子を用意してくれるような

親は全く関係ないパーティではないだろうか。




いいですか。

ケーキは親が用意します。

うちの幼稚園では、それ以外に、クラスの子全員に

小さく包んだお菓子(飴やチョコ)も渡します。

しかも親も参加(希望した場合のみ)



まじかっ、って、なるよね。

ゴウのクラスは22人。

20人以上分のケーキって焼いたことないんですけど。

前日までに小さなプレゼントをちまちま用意して、

当日、大型のケーキ焼いて、とおいらは入園してからずーっと考えてた。

まあ、ケーキの大きさは未知だが、きっと焼けるだろう。

気が滅入るほど面倒だけど、ケーキさえ焼けば、終わりだ。

そう思ってた。




きっかけはなんだったろう。

ゴウが幼稚園に着くなり、

持参の弁当(朝食としてドイツでは普通)を開き

それをおいらが見かけたことだったろうか。

他の子がパンを頬張ってるのに、

ゴウは黒い海苔を巻いたおにぎりを食べてる。

周りの子は、それをどう思ってるんだろうか。



時々ゴウは、友達からハムをもらったとか、ぶどうをもらったとか、

嬉しそうに話してくれる。

でも、その友達は、

ゴウの食べるおにぎりを、食べられるんだろうか。



日本人には到底考えが及ばないことだが、

世界的に、海苔を「食べることができる」民族はおそらく多くない。

黒い物体は、およそ食用とはみなされず、

拒絶されてしまうのだ。

考えてみたら、ゴウの卵焼きにはジャコだって入れてる。

あんな小型の魚なんて、

他の子はきっと食べられないだろう。




ちょっと待て、これはものすごいチャンスじゃないか?

正々堂々と、よそ様のお子さんに、

こっちが望むものを食べさせることができるなんて。



おいらは、ケーキを作るのをやめた。

おにぎりを食べてもらおう。

普段ゴウが食べているのは、

得体のしれない黒絵具のようなものではなく

次に見たら欲しくって、ゴウにねだってしまうくらい美味しいものだと

絶対に思わせてみせる。

名付けて、誕生日大作戦。



おいらはまず、先生に相談した。

きっとみんな、ゴウがなにを食べているかわからないだろうから、

日本食を誕生日に持ってきたい。

先生はいいアイデアだと同意してくれた。

おいらが、海苔を食べてもらえるだろうかと不安を口にすると

子供達にとって、違う国の食べ物を食べることは

とてもいい経験であり、

私がそれをサポートしなければならない、と言った。

つまり無理矢理でも食わせて見せる、ということだと受け取った。


しかし相手は幼稚園児である。

先生が何と言おうと、食べてくれない可能性は高い。

おにぎりとは別に、絶対にドイツ人が喜ぶものも作ろう。

考えた末、小さなアメリカンドッグを作った。

案の定、これは大人気で、一人二個作ったのに、

欠席の子の分を巡って争奪戦になった。



そして本命のおにぎり。

失敗は許されない。

一口食べてマズければ、

今後ゴウのお弁当にどんなヤジが飛ぶかわからない。

そこでおいらは、偉大なフリカケの力を借りることにした。

子供が喜ぶようなタイプのものを、日本から送ってもらう。

日頃、ゴウにインスタントのものを与えないように

フリカケも避けてきていたが

背に腹は変えられない。

ちびっこに添加物いっぱいのものを食べさせるのも気が引けるが

一回くらいいいだろう。



おいらは当日朝5時に起き、

二回もご飯を炊いた。

一人二個の小さなおにぎりと、海苔巻き。

海苔巻きは、アボガドと火を通したスモークサーモンで

なんちゃって寿司にした。

巻き寿司は、食べたい子だけにあげてもらうつもりだった。

同日夕方から、幼稚園以外の友達を招いたパーティを予定していたので

そのケーキ焼いたり夕食作ったりで、

幼稚園の誕生日会には参加しなかった。

そのことで、ゴウには後ほど怒られた。

参加してほしかったのかー、と驚いたけど

先生がいっぱいゴウの写真を撮ってくれてたので

準備優先してよかったというのが本音。



アメリカンドッグは完売だったが

おにぎりと海苔巻きはそれぞれ8個ほど残ってた。

予想していたより、食べてもらえたみたいだ。

置いていても邪魔だろうと、受け取ろうとしたら

先生が「年長さんたちが、もし余ってるなら食べたいと言ってる」

と言ってくれた。

アメリカンドッグは制止できなかったが、

おにぎりだけは、欠席の子の分は残し、

おいらに食べていいか聞くと、子供達に言ったのだそうだ。

おいらが快諾すると、

「よかった、さっきからずっとおにぎりは?って聞かれてるの」

と笑った。



最初、想像した通り、

アジア圏以外の子供は、おにぎりや寿司に手を出さなかったそうだ。

それを先生がなだめすかし、

とにかく匂ったりちょっとだけかじらせたりすると、

急に顔を輝かせて全員が食べたらしい。



おいらはものすごく幸せな気持ちになった。

下手したら誰も食べてくれなくて

ゴウを惨めにさせたかもしれないのに。

ありがとう、と心から言った。

当たり障りのないケーキにしようと、何度考え直したか。

挑戦して良かった、と本当に思った。

ゴウが成長するたびに、

おいらはいいチャレンジや経験をさせてもらってる。

生まれてきてくれてありがとう、ゴウ。





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4歳ってめっちゃデカくてびっくりする。膝ついてだっこはもうできない。


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ゴウの日本語が、だいぶドイツ語化してきている。

最初は日本語の文章にドイツ語単語が混じり始め

最近は語順がドイツ語化し始めた。

僕は食べる、これを。という感じに。




はい、いいえもドイツ語化し始めた。

こりゃやべーと思ったら矢先、

独日ハーフちゃんたちの集まりを教えてもらった。

子供の日本語をキープするために、ネットで知り合ったママさんたちが

広範囲で隔週集まり、

日本の歌を歌ったり日本の本を読んだりしている。




全然話変わるけど、このハーフって呼称はどうなんだろう。

一時期、半分という印象を与えるという理由で

差別的だという意見が出てた。




英語ではhalfも使うがmixの方が多いそうな。

想像だが、半分じゃないケースが多いからじゃないかな。

ドイツ語でもmixを意味するmischを使ったmischlingと表現する。

実際には「あの子はパパが何人でママが何人で」って言い方が主流。




ハーフというのは和製英語に近くて

半分というより混血の意味合いの方が強いとは思うけど

我が子を半分などと形容されたくない気持ちはよくわかる。

じゃあ、欧米風にミックスと呼ぶとなると、

こっちのがおいらには抵抗がある。

犬の雑種をミックスと呼ぶのが根付き、

ミックスと聞くと犬っぽい響きをおいら個人は感じてしまうから。




国際結婚してるママさんに直接聞くと

「ハーフで大丈夫よ」と言われるので

ついハーフちゃんと呼んでしまう。

「ちゃん」はせめても、人間味を出そうというあがき。

日本では今、どういう呼び方が主流なんだろう。

変わらずハーフなんだろうか。




まあそれはさておき、

ハーフちゃんたちの集まりに一度参加してみた、

という話なのだ今日は。




ママさんの中には教職だった人もいて

自主的な集まりにしては

非常によくプログラムが組まれていた。

全員が日本語オンリーとはいかないものの

ゴウはちゃんと日本語を話していた。




いいなーと、思ったのだ、本当に。

ゴウには、日本語を話す場所が不足している。

でもね、問題が。

これはかなりの大問題。




ハーフちゃんなんですよ、みんな。

15人以上ね、どの子もどの子も、すんげえ美形。

本当にアニメの全員美形学園状態です。

おいらテンション上がりすぎておかしくなってた。

男女全員まつげばっさばっさ、茶髪のクリクリ、鼻筋通って、

どんなアニメの実写も可能です。




こんなとこにゴウを入れたら

ただでさえ初恋は金髪青眼だったのに

まーた異性を見る目が上がってしまう。

ゴウも美形だったらまあいいが、

誰に似たのか一重まぶたの醤油顏。

(ちなみに親類で一重はマンジロウ母だけです)

日本に帰って、自分の顔のことも考えず

めんくいになっちゃったら目も当てられない。

母は泣く泣く参加を諦めた次第です。

だってそのうち日本に帰るから語学ってそんな深刻じゃないし

それよりめんくいになっちゃうほうが

一生問題だもの。



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何度も書くけど、本人が美形だったらいいわけさ。


ゴウは日本人だけれども

生後三ヶ月からドイツで育ち、

友達もドイツ人が多いし、

最近ではイエス・ノーもドイツ式になってきて

気性もドイツ人ぽくなるのかと思いきや

すごく日本人くさい。




とにかく、彼はノーと言えないのだ。




例えば、彼の帽子。


話の都合上、画像が必要なのだけれど

そのへんの画像を拾ってくるわけにもいかず

かといって写真撮るのめんどくさいので

アマゾン広告画像貼ります。



↑売るのが目的じゃないんだけど、公平を期すため書いておくと

ここから買うとおいらに20円ばかし入ることになりますよ。




本題に戻る。

ゴウは画像のような帽子をかぶっている。

紐がついているのだ。




この紐、使い道があるって知ってた?

おいらはただのかざりだと思ってた。

民族的なものかと。どこの民族かはしらんが。



そしたら、これにはちゃんと使い道があることを最近知った。

紐を顎の下できちっと結ぶと、

耳あて部分がしっかり耳を覆い、あたたかいのだ。




なんで知ったかというと、

幼稚園に迎えに行ったら、

ゴウの帽子の紐が、しっかりと顎の下で結ばれ

ヘルメットみたいになってめちゃかわいかった。

幼稚園の先生が、そうしてくれたわけだ。





迎えに来たおいらに、ゴウは涙目で言った。



「これ、はやくとって」




そう、ゴウは結ばれるの、嫌だったんだね。

こっそりほどくと、先生にすぐ直されてしまうそうだ。

じゃあ、いやだと言えばいいのに、

先生がにっこり笑って結ぶと、

いやと言えず、

ストレスを溜め続けていた模様。




話変わるけど、上着についてるフードも、

おいらはドイツに来るまで飾りだと思ってた。

日本でフードなんかかぶったこと、一度もない。

でもドイツで、

「あ、フードってあったかい」

と思ったのだった。

防寒目的のものって、

暖かい国では意味を失うのだなあ。


日本で買ったパーカーなんて、

フードかぶろうと思ったら、届かなかったからね。

どれだけ飾りかっていう。

それに上で貼った画像の帽子も、

おそらく日本でデザインしてるんだろうけど、

紐は完全に飾りだよね。

どう考えても結べないよね、この紐。

太いし、長すぎる。




いや、そういう話じゃなくて。

ゴウはこんなに優柔不断というか、

煮え切らなくて、大丈夫なんだろうか。

ドイツ社会でやっていけるんだろうか。

まあ、そのうち日本に戻るだろうけれども、

万が一アメリカなんかにいっちゃったら

やっぱ自己主張できないと、生きていけないんじゃないかなあ。




今日、ゴウは

「お母さんのこと、ぼくは、お空みたいに好き」

と言ってくれた。

両手をうーんと高く伸ばして、それよりもっと好きと言いたくて、

木や、屋根を例えに使い、

その果てに空と言ってくれた。




嬉しい。

おいらは聞いた。

「マリーアンナちゃんより好き?」

マリーアンナちゃんは、ゴウが幼稚園で片思いしている美少女だ。

ゴウはきっぱりと言った。

「マリーアンナちゃんの方が好き」




そっかー……

そこははっきりしてるんだね。

男の子なんて、どぶに捨ててしまいたい。




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おかんより彼女ですわ。


このブログは、ためになることは何ひとつ書いていない。

それがアイデンティティ、というくらい、

全く役に立つことを書かないおいらですが

今日、初めて、

歯磨きを嫌がる子供にイライラしてるママさんが

泣いて喜ぶこと必至の情報をお届けします。



たった一回、あることをすれば

あなたの子供は、自ら進んで口を開けます!

この「あること」には、お金は一銭もかかりません。

さあ、

今すぐ詳細が書かれたあいざぁPDFを有料ダウンロード!




というのはタチの悪い冗談。




ゴウは小さい頃から歯磨きが嫌いで、

歯ブラシを見せると、歯を食いしばる子だった。

おいらはゴウを押さえるつけ、

むりやり口をこじ開けて歯磨きをしたり、

テレビをみせるという交換条件をだしたり、

歌を歌ったり、踊ったり、歯磨きの本を読んだり

ありとあらゆることをやった。



もう、ほとほと疲れた。

いいよもう、虫歯になれよ。

と思っていたが、

日本滞在中、思わぬことから、

ゴウはちゃんと口を開けて歯磨きをするようになったのだ。





それはある日のこと。

おいらのじいちゃん、つまりゴウのひいじいちゃんが、

風邪をひいて寝ていた。

ゴウが来たのを知って

じいちゃんが起きてきた。



その瞬間、ゴウが硬直した。

おいらも、あ、と思った。

じいちゃんは入れ歯を外していたので、

顔がくしゃくしゃだったのだ。



ゴウがびっくりしているのを見て、

じいちゃんはゴウの向かいに腰を下ろし、

おいらに洗面所の入れ歯を持ってくるように言った。





おいらが入れ歯を持って戻ると、

ゴウは顔面蒼白になっている。

じいちゃんが、入れ歯をぱかっと口に入れると、

ゴウは



「ひいいいいいいいいい!」



と叫んだ。



そしておいらの胸に顔をうずめてブルブル震えた。

しかしチラチラとじいちゃんを盗み見ている。



じいちゃんは、

「ちゃんと歯磨きせんと、こうなるんやぞ」

と、また入れ歯を外し、

しっかりゴウに見せた。





その夜からである。

「じいちゃん、出たね、歯がね、出たねえ」

としきりに頷きながら、神妙な顔をする。



そして、「歯磨き、しよっか」と自分から言った。



はい、わかりましたね。

ポイントは総入れ歯です。

これはかなりの衝撃のようです。

ちなみに、友人の2才の子も、

この方法をすすめてみたら、

入れ歯というのは理解できなかったものの、

なんかものすごいことになっている、という認識はでき

それからしっかり磨くようになったそうです。




困っているお母さん、

ぜひ試してみてください。




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おいらも歯磨きがんばろう、って思った。


ある日、ゴウを迎えに行ったら

朝着せたのとは違うトレーナーを着ていた。

あれ? と思うと同時に、先生が背後に立っていて



「あいざぁさん、ちょっと…。

園長室でお話があります。

ゴウ、先生と一緒にママを待ってようね」




えええええ?




な、なんだろう。

ゴウ、着替えてたってことは、汚した・濡らしたってことよね。

他の子を巻き込んじゃった?

どちらかというと巻き込まれるタイプなんだけど

やるときゃやるよね、子供だもん。



ありゃりゃ~

困ったわ~

どうしよう~



と、園長室に向かった。



園長先生は、いつもの優しい笑顔だった。





机にはゴウのトレーナー…。






濡れても汚れてもいない。






はい、この時点で気づきました。

このトレーナーに問題があるのだと。

でも、それが何なのかまでは、わからなかった。





園長先生は、困ったような微笑みで



「この服を、なんらかの信念によって着せましたか?」



と聞いた。




信念?




そのトレーナーは、マンジロウ父の貢物である。

日本で売っている、厚手のトレーナーだ。

ただ、絵柄が、戦闘機なのだ。

見るからに、古い、世界大戦中の飛行機で

一目見ただけで、おいらはいやな気分になった。



傍らにはゴウがおり、

それを隠す暇はなかった。

ゴウはその飛行機をとてもとても気に入った。

なにかというと、そのトレーナーを着たがった。


一日家にいるような日は、

そのトレーナーを着せた。

けれど、その日の朝はゴウがどうしてもこのトレーナーを着ると言い

幼稚園へ早く送り届けたいおいらは

「もういいや」な気分になって、着せたのだ。




そのトレーナーをあまり好きではないというのは

おいらの個人的な感覚で

子供や、他の大人にしたって

男の子が戦闘機のトレーナーを着ていたからといって

気分を害するというほどのものではないだろう。


いやしかし、子供に戦闘機ってどうなのよ。

テレビで内戦の報道を見るだけで

明らかに動揺するゴウに

そんなものを着せるなんて

母親としては、苦痛なのだ。





しかし今はそういうことが問題なのではない。

なぜにおいらは園長室に呼び出されてるのか?

戦闘機のトレーナーを着せたから?

まさか。




「あいざぁさん、あなたは日本人だから

このマークの意味をご存知ないんでしょうか」



園長先生がたたんであるトレーナーを広げ

その尾翼に描かれた

鉤十字を指差した。






か、鉤十字っっっっ?










えーーーーーーーーーーーーーーー!!!










「知りませんでした! このマークは知ってるけど

ここについてるって、知りませんでした!

ごめんなさいっ!」





必死で謝り倒すおいら。

知らなかった知らなかったと連呼してしまうくらい

激しく動揺。





園長先生はほっとした顔をして

「だったらいいんですよ、

知っていて、着させているのかと。

知らないんだろう、とは思ったんですけどね、

知っているかもしれないし」

と言ってくれた。





そうですそうです、知らなかったんです。




「このマークは、ドイツでは使ってはならないんです」



「知ってます知ってます知ってます。

本当にごめんなさい。

細部まで見ていなかったんです。

今ならはっきり見えるけれど、今まで気付かなかったんです」




人間、慌てると何度も同じことを言う。




「この飛行機がドイツ製だということも知りませんでした。

ゴウの祖父が送ってくれたんです。

日本の製品なんです」


「そうでしょうね、ドイツ製ならこのマークは消えています。

でも、だからこそ、あえてこれを着せているなら

問題があると思って、お話したかったんです。

よかった、これで全て終わりです。

このマークは、なにかで隠してくださいね」



「えっ、いいえ、

だってこれを隠しても、

ここにこのマークがあるって、もう皆さんご存知ですよね」



「いいですよ、気にしません。

マークが悪いのではないんです。

思想が悪いんです。

あなたにその思想はなく

ドイツの考え方を尊重しようとしている。

だから問題ありません。

ここは何かで隠して。

ゴウはこの服が好きなんでしょう?」





なんていうのかしら、こういうの大岡裁きっていうの?

罪を憎んで人を憎まずみたいな?



めっちゃほっとしたー。



このマークを公けに晒すのって

ドイツでは犯罪。

通報されてても文句は言えないわけで。

よかった…。




以前、日本製品には意外とついているので

ドイツ滞在中は鉤十字に気をつけるよう、

何かで読んだか誰かに言われたか、した。


でもおいらはコスプレなんかしたことないし

知らずにそのマークを身につけるはずがないと

思い込んでいた。

意外に付いてる、とはいっても

普通に暮らしていて、付くわけないじゃん、と。





ところが見事についてたわ。びっくり。

いや、びっくりどころじゃ済まない話だった。






で、家に帰ってまた一難。


ゴウに、説明をせずにワッペンをつけるか、

ちゃんと説明するべきか

悩んだ末、おいらは話をした。



「このマークは悪いマークだから、これでフタしようね」



いやだ、とごねるかと思いきや

意外な方向から反論が。



「これはじいちゃがくれたんでしょう。

じいちゃが悪いマークをくれたの?」




3歳児というのは、恐ろしく「大人」だ。

自分を愛してくれてる「じいちゃ」が

自分に悪いものをくれるはずがない。

そういう思考がもうすでにできるのだ。



「じいちゃは日本人だからね、

日本ではフタしなくてもいいの。

悪いマークだけど、そこについててもいいの。



でもドイツでは見せちゃいけないの。

ドイツの人はこのマークが嫌いなの。

ひとが嫌がることを、しちゃいけないね。

みんなが悲しくなっちゃうんだよ。

このトレーナーを捨てるか

フタをするか、どっちかよ」



ゴウは泣き出した。

「じいちゃはゴウに悪いマークくれたの?」

おうおう、と顔を覆って泣き出した。



「違うよ、ゴウ、じいちゃはゴウが喜ぶと思って

送ってくれたんだよ」



きっとゴウはおいらが呼び出されるのを見て

不安になっていたんだろう。

それが吹き出したんだ。


おいらはゴウを抱きしめて

ゆらゆら揺らしながら

どうして人は戦争なんかするんだろう、と思った。

こんなに傷つきやすいのに、

どうして傷つけようとするんだろう。




ゴウと一緒に、ワッペンをつけた。

もう着ないと言うかと思ったら、

今朝、それを着て幼稚園にいくと言った。

トレーナーを隠すべきだとマンジロウは言ったが

おいらはゴウに任せようと、

いつもと同じタンスに入れていて

それを今朝ゴウが引っ張り出したのだ。





幼稚園に迎えに行くと

先生が「とってもいいワッペンがついたわね」と

声をかけてくれた。

つけたのは、四葉のクローバーだった。



「あなたが気分を害さないといいんだけど」

と言うと

「ゴウは今朝、私にワッペンを見せて

悪いマークはなくなったよ。

先生、もう悲しくない? って聞いたのよ。

ああ、とってもかわいかったわ」

と笑ってくれた。




ありがとうございます、と言いかけて

泣きそうになってしまった。



マークに気付かなかったおいらが一番悪い。

そして、一番勉強させてもらった。










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男の子をお持ちのお母様、どうかお気を付けください。


プロフィール
HN:
あいざぁ
性別:
女性
自己紹介:
ドイツ在住、細々とライター業。
海外転勤につられて、まんまと策略婚。
夫との育ちのギャップに窒息寸前。


夫:マンジロウ。日本人だがアメリカ人的思考。
息子:ゴウ。幼児。

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著作権はあいざぁにありますので、勝手な引用は禁止です。勝手なリライトはおいら泣いちゃうのでやめてください。書き直して酷い文にされることほどツライことはないです。


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