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お育ちのいい夫にてこずる妻日記。エコだったり毒舌だったり。

2024-04

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ドイツでは誕生日のお祝いというものを重視する。

幼稚園では誕生日会を必ず行う。

知り合いの小学校では、さすがに個別にはしないけれど

毎月、生まれ月の子のためのお誕生日会があるらしい。



日本人が想像する、幼稚園での誕生日会とは

幼稚園側でケーキやお菓子を用意してくれるような

親は全く関係ないパーティではないだろうか。




いいですか。

ケーキは親が用意します。

うちの幼稚園では、それ以外に、クラスの子全員に

小さく包んだお菓子(飴やチョコ)も渡します。

しかも親も参加(希望した場合のみ)



まじかっ、って、なるよね。

ゴウのクラスは22人。

20人以上分のケーキって焼いたことないんですけど。

前日までに小さなプレゼントをちまちま用意して、

当日、大型のケーキ焼いて、とおいらは入園してからずーっと考えてた。

まあ、ケーキの大きさは未知だが、きっと焼けるだろう。

気が滅入るほど面倒だけど、ケーキさえ焼けば、終わりだ。

そう思ってた。




きっかけはなんだったろう。

ゴウが幼稚園に着くなり、

持参の弁当(朝食としてドイツでは普通)を開き

それをおいらが見かけたことだったろうか。

他の子がパンを頬張ってるのに、

ゴウは黒い海苔を巻いたおにぎりを食べてる。

周りの子は、それをどう思ってるんだろうか。



時々ゴウは、友達からハムをもらったとか、ぶどうをもらったとか、

嬉しそうに話してくれる。

でも、その友達は、

ゴウの食べるおにぎりを、食べられるんだろうか。



日本人には到底考えが及ばないことだが、

世界的に、海苔を「食べることができる」民族はおそらく多くない。

黒い物体は、およそ食用とはみなされず、

拒絶されてしまうのだ。

考えてみたら、ゴウの卵焼きにはジャコだって入れてる。

あんな小型の魚なんて、

他の子はきっと食べられないだろう。




ちょっと待て、これはものすごいチャンスじゃないか?

正々堂々と、よそ様のお子さんに、

こっちが望むものを食べさせることができるなんて。



おいらは、ケーキを作るのをやめた。

おにぎりを食べてもらおう。

普段ゴウが食べているのは、

得体のしれない黒絵具のようなものではなく

次に見たら欲しくって、ゴウにねだってしまうくらい美味しいものだと

絶対に思わせてみせる。

名付けて、誕生日大作戦。



おいらはまず、先生に相談した。

きっとみんな、ゴウがなにを食べているかわからないだろうから、

日本食を誕生日に持ってきたい。

先生はいいアイデアだと同意してくれた。

おいらが、海苔を食べてもらえるだろうかと不安を口にすると

子供達にとって、違う国の食べ物を食べることは

とてもいい経験であり、

私がそれをサポートしなければならない、と言った。

つまり無理矢理でも食わせて見せる、ということだと受け取った。


しかし相手は幼稚園児である。

先生が何と言おうと、食べてくれない可能性は高い。

おにぎりとは別に、絶対にドイツ人が喜ぶものも作ろう。

考えた末、小さなアメリカンドッグを作った。

案の定、これは大人気で、一人二個作ったのに、

欠席の子の分を巡って争奪戦になった。



そして本命のおにぎり。

失敗は許されない。

一口食べてマズければ、

今後ゴウのお弁当にどんなヤジが飛ぶかわからない。

そこでおいらは、偉大なフリカケの力を借りることにした。

子供が喜ぶようなタイプのものを、日本から送ってもらう。

日頃、ゴウにインスタントのものを与えないように

フリカケも避けてきていたが

背に腹は変えられない。

ちびっこに添加物いっぱいのものを食べさせるのも気が引けるが

一回くらいいいだろう。



おいらは当日朝5時に起き、

二回もご飯を炊いた。

一人二個の小さなおにぎりと、海苔巻き。

海苔巻きは、アボガドと火を通したスモークサーモンで

なんちゃって寿司にした。

巻き寿司は、食べたい子だけにあげてもらうつもりだった。

同日夕方から、幼稚園以外の友達を招いたパーティを予定していたので

そのケーキ焼いたり夕食作ったりで、

幼稚園の誕生日会には参加しなかった。

そのことで、ゴウには後ほど怒られた。

参加してほしかったのかー、と驚いたけど

先生がいっぱいゴウの写真を撮ってくれてたので

準備優先してよかったというのが本音。



アメリカンドッグは完売だったが

おにぎりと海苔巻きはそれぞれ8個ほど残ってた。

予想していたより、食べてもらえたみたいだ。

置いていても邪魔だろうと、受け取ろうとしたら

先生が「年長さんたちが、もし余ってるなら食べたいと言ってる」

と言ってくれた。

アメリカンドッグは制止できなかったが、

おにぎりだけは、欠席の子の分は残し、

おいらに食べていいか聞くと、子供達に言ったのだそうだ。

おいらが快諾すると、

「よかった、さっきからずっとおにぎりは?って聞かれてるの」

と笑った。



最初、想像した通り、

アジア圏以外の子供は、おにぎりや寿司に手を出さなかったそうだ。

それを先生がなだめすかし、

とにかく匂ったりちょっとだけかじらせたりすると、

急に顔を輝かせて全員が食べたらしい。



おいらはものすごく幸せな気持ちになった。

下手したら誰も食べてくれなくて

ゴウを惨めにさせたかもしれないのに。

ありがとう、と心から言った。

当たり障りのないケーキにしようと、何度考え直したか。

挑戦して良かった、と本当に思った。

ゴウが成長するたびに、

おいらはいいチャレンジや経験をさせてもらってる。

生まれてきてくれてありがとう、ゴウ。





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4歳ってめっちゃデカくてびっくりする。膝ついてだっこはもうできない。


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無題
生まれてきてくれてありがとう、、、、私も何度そう思った事か、   しかーし  マメ夫なくしてこの子らは存在しなかった  ガーン。
バル114 URL 2013/08/07(Wed)06:49:38 編集
どっこい
いやバルさん、DNAなんてたいした仕事してませんよ。目が細いとかね、まあそういうのはね、あるけどね。やっぱり毎日作ってるご飯で体は作られてるんだし、父親が違ったっておんなじようなのが出来上がるんじゃないかなーって思うこともあるんですが、しかしゴウの体つきはマンジロウそのまんまだな…。
【2013/08/07 19:37】
良いですね!!
海外ならではの親の修行・・・いやいや経験ですね♪
日本だったら「食中毒が~、食べ物の管理が~」とかで絶対に親の手作り品を子供に振舞うって事は無いでしょうから。

親は大変ですが、子供も色々な家庭の味を口にする機会があり、何よりもおおらかで良いなぁ~って思いました。
準備、お疲れ様でしたm(__)m
お囃子 2013/08/07(Wed)13:48:49 編集
気づかなかった!
そうなの?まじで! そういうのかー!なるほど、それで持ち寄りとかないのか日本。こっちは幼稚園でなんかしらパーティをする時もケーキ持ち寄りです。日本は梅雨あるしなあ。
【2013/08/07 19:39】
無題
とても素敵な話に初コメです。ゴウくんお誕生日おめでとう。
りらみ 2013/08/07(Wed)19:26:17 編集
ありがとうございます。
近所のフランス人のぼーやが、うちの台所のだしじゃこ見て悲鳴をあげて以来、台所には絶対に近づきません。多文化っていろいろ大変です。
【2013/08/07 19:42】
無題
あいざぁさんすごい!4歳児に普段食べないものを挑戦させるのって大人に挑戦させるよりむずかしいですよね!
今日のは読んでてこっちまでうれしくなりました。
そしてそれをゴウくんのおかげだっていうあいざぁさんがまた素敵。ゴウくんももう4歳なのかーーーー。
sawara 2013/08/07(Wed)23:44:37 編集
コメント読んで、おいらもうれしいです。
挑戦できたのは、ひとえに先生のおかげです。おいらは彼女をすごく信頼してるので、もし皆が食べてくれなくても、彼女がうまくまとめてくれるだろう、と思えたので、踏み切れました。褒めてくれてありがとー。
【2013/08/09 17:23】
無題
素晴らし過ぎます!!!
立ち上がる母☆
かっこいいです。
私も無難マフィンではなく、今度は何か挑戦してみようかなっ。
ハラちゃん 2013/08/08(Thu)08:01:06 編集
子供のみならず
ぜひぜひチャレンジを! あ、抹茶は評判悪いです。東欧の人は抹茶ケーキ食べて魚の匂いがすると言ってました。あんこのパウンドケーキはフランス人に好評でした。スペイン人は小豆は塩辛く炊くらしく、甘いのは無理っぽそうでしたよ。この点に気をつけて、レッツ押し付けケーキ!
【2013/08/09 17:26】
おめでとうございます♪
いやー、ゴウくん、もう4歳ですか。早いなあ。

そして、あいざぁさん、流石!日本文化の親善大使みたいで格好いいわあ。
私はもう今から「嫌だなあ・・・」モードだったのですが(お誕生日だけでなく、バザーだの両親会だの何だのと言って、作らされますよね・・・)、こういう発想の転換って大切ですね。目から鱗でした。
こんなお母さんをもったゴウくんは、本当に幸せ。
どくとるくま 2013/08/08(Thu)12:43:01 編集
ありがとうございます♪
そうそう、夏祭りだなんだつってね。意外とみなさん手作りケーキですよね、持ち寄りBBQなんかでは、こんな美味しいサラダをドイツ人がっ、とか失礼なことをおいらよく思います。面倒だけど楽しいですよね、パーティーフードの勉強にもなるし。
おいらより、くまさんの方がいいお母さんだと思うなー。子供にとっては、自分の親が世界一でしょうけど。
【2013/08/09 17:33】
感動~
あいざあさん、私はあいざあさんのブログを妊娠中から今までずーっと拝見していて、あいざあさんの事を突き抜けて面白い人かと思ってました。が、今回、同じ海外暮らし&白人社会で育児中の身として、ものすごく感動しました。なんて素敵なお母さんなんでしょう!
海苔って、本当に食べたことない文化の人からしたら、かなりハードルが高い食べ物ですよね。ご準備もお疲れ様でした。
なんだか、いつもより自慢げにお母さんの愛情たっぷりのご飯を食べるゴウくんの可愛い姿が目に浮かぶようです。
最後になりましたが、ゴウくん、お誕生日おめでとうございます。
みぃ 2013/08/09(Fri)12:32:36 編集
あらまあ
関西人にとって、面白いというのは最高の褒め言葉。関西人じゃなくっても褒め言葉。というわけで素敵なお母さんは返上いたしますので、突き抜けておもしろい人の方をどうかひとつ、おいらにいただけないでしょうか。
【2013/08/09 17:35】
すばらしい、、、、。
もう、脱帽もんでず。こっちのやつらに(わからない人々に)海苔、なんて貴重なものは振舞えない、と思っていた自分を恥じました。仕事で忙しくてもう、ケーキ買ったろか!って思ったけど、そこは何いわれるか気になって(ちいさっ)むちゃくちゃ適当なもの作って行った自分を激しく反省しました、、。日本のお母さんってかんじ。あいざぁさん、素晴らしい。
大先輩 2013/08/10(Sat)06:03:05 編集
だって暇だし
正直、働いてたらできません。働いてもないのに、いろいろ手抜きです。だからおいら本当にすばらしくないんです。たぶん、今までの人生で今が一番なんもしてない。
ちなみに二歳までは、どの国の子でも海苔を喜んで食べます。基本的に美味しいものなのです。うちはフランス人のちびっこにしこたま海苔を食べられて、おっしゃる通り貴重なもんですから、こっそり泣きました。
【2013/08/11 06:40】
勇気を出しての初コメ
ドイツ留学経験があり、2人の子供がいます。
少しズレてしまうかもしれませんが…
私は留学中は同化しようとするのではなく、異質な存在のままで一目置かれたい、
といつも思っていました。

黒いペラペラの物が美味しいって知らないだけですもんね。
異国の黒いペラペラを食べてみる機会を
4才やそこらで得たなんて、なんてラッキーなドイツ人のちびっこなんでしょう!!
ゴウくんがいるからこそ出来た体験ですよね。
毎回コメしたいな、と思いながら勇気を出せずにいたのですが…
しちゃった。
KONO 2013/08/14(Wed)19:25:16 編集
初コメありがとうございます
それはすっごく同感! 例えば、日本では国際的な子になってほしいと、欧米人っぽい名前をつけるケースがありますよね?おいらは一切それ思わない。ドイツ人はおいらの名前をちゃんと発音できないけど、努力してくれるし、おいらも気が向いたら訂正するし、そういうことこそが国際的ってことだと思うのです。
【2013/08/15 05:30】
感動しました!初コメします
まさに、逆転の発想ですね。物凄く感動しました。
私は、数年前、当時高校生だった長女の学校に来た、オーストラリアの高校生の女の子のホームステイを一週間受け入れた事があるのですが、
腕によりをかけて頑張って作ったお料理を、全く食べてくれなくて、困った覚えがあります。
でも、魚で出汁を取った味噌汁とか、生のお刺身のとか、今思うとオーストラリア人の彼女にはハードル高かったんですね。思い切り自分の国の食文化をゴリ押ししていたんだな〜と、あいざあさんのブログを読んだ今になって気づきました。困っていたのは、私じゃなくて、出される食事が食べられない彼女だったんだなあ~。正に目から鱗です。長女も、留学生の子と、トンチンカンな張り切り母の間で、困っていたんだろうね。
話が、ズレますが、そんな母を持ってしまっ長女ですが、この秋からドイツの大学に
一年間留学します。異文化の人と、コミュニケーション取れる様に、頑張ってほしいと、思っています。
最後になりましたが、ゴウ君のお誕生日、おめでとうございます。素敵なお母様を持って幸せだね(#^.^#)
ゆゆこ 2013/08/19(Mon)17:14:06 編集
ドイツ留学、楽しみですね!ぜひゆゆこさんも遊びにおしかけてください。
うはっ!それはハードル高い!生の魚は上級者向けですね。彼女とゆゆこさんの戸惑いが想像できて笑ってしまいました。ごめんなさい。日本人というのはものすごく食に対して好奇心があり、オープンなんで、それが標準と思ってしまうんですが、あれは世界的に見てかなり稀有な感覚です。肉じゃがとかがいいんじゃないでしょうか。うちの近所のフランス人は、親子丼に感動してました。一年位経つけど、今でも言ってくるので、多分本当に口にあったのだと思います。お嬢さんが日本食を披露しなければならない時には、参考までにお伝えください。あとすし太郎を一つ持っていけば、急遽ホームパーティでもちより要求されても、簡単に作れます。あれは意外と評判いいんですよ、自分で酢飯作るより。
【2013/08/20 05:31】
初コメです
いつも楽しく拝読しています。
今回の記事、とても感動したので勇気だして初コメです。子供たちに他者の文化に理解と尊敬を示すきっかけを与えられたこと、素晴らしいと思いました。大成功でよかった!
私は未婚ですが、今後母になるチャンスがあれば見習いたい姿勢であり、お考えです。素敵な感動を、ありがとうございました。
ぽんかん 2013/08/23(Fri)09:57:32 編集
コメントありがとう!
ほんと、成功でよかったです。子どもができる前のおいらって用心深くて、こういうことできなかったと思います。今はもう、考えるの面倒っていうか、計画しても無駄っていうか…。結婚やしゅっさんで自分がどんどん変わって行くの、楽しんでくださいねー。
【2013/08/25 03:53】
無題
日本の幼稚園でも園側でケーキやお菓子を用意するなんて、聞いたことありません。
勝手な上から目線で吐き気がします。
因みにわが子の通った園は、親の手作りランチでした。参考にはならないと思いますが。
NONAME 2013/09/15(Sun)21:41:26 編集
そうなの?
幼稚園って誕生日会しますよね? ケーキなしなの? おやつも? じゃあなにするんだろ。歌を歌うだけとか?
【2013/09/17 04:37】
無題
あいざぁさんの試みが広まって、
インドの方はインド料理とか持ってきたらおもしろいなーと思いました。
誰もやってないことをやってみようとおもうところがすてき^^

ところで、誕生日会の話ですが・・・
うちは市立の保育所ですが、毎月の誕生会の日は給食が豪華(というかこどもの好きそうな)になって、さらにおやつが普段の果物やおにぎりでなく、ケーキやお菓子になります。
といってもホットケーキとかですけど。
みんなで歌を歌って、誕生日の子は冠をかぶせてもらってって感じらしいです。
だから、園がケーキを用意って考えるのは普通の感覚だと思いますよ。
しまこ 2013/09/17(Tue)08:49:32 編集
それはおもしろい
そんな大合戦みたいになったら、ぜひ親も参加させてもらいたいですね!楽しそう。
お誕生日に給食が豪華になるって、給食の献立作る人たいへんですね!栄養だけじゃなく、そこまで加味してつくるのかー。ちなみにドイツには栄養学という考え方はなく、給食の内容は悲惨です。
【2013/09/17 17:34】
プロフィール
HN:
あいざぁ
性別:
女性
自己紹介:
ドイツ在住、細々とライター業。
海外転勤につられて、まんまと策略婚。
夫との育ちのギャップに窒息寸前。


夫:マンジロウ。日本人だがアメリカ人的思考。
息子:ゴウ。幼児。

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