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お育ちのいい夫にてこずる妻日記。エコだったり毒舌だったり。

2024-05

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姉はスーパーのレシートを見つけた。
見つかる分だけで、計算をしたら、月に15万円も買い物をしている。
品目を見ると、いつも同じものばかり買ってる。
毎日。一日に何回も。

もう、一人暮らしができなくなるのも、そう先の話ではない。
グループホームという、認知症の人たちが共同生活する施設を探そうとしたが
義兄が納得しなかった。


確かに、待ち合わせには来られなくなってしまった。
必要でない買い物をしてしまう。

でも、それ以外は大丈夫じゃないか。

掃除はきれいにしている。
食事はほとんど作らなくなり、惣菜ばかり買っているが、
それでもちゃんと食べている。
一人で暮すことに、問題はない。


なんというかね。
おいらもね、どう言っていいか、わかんなかった。

義兄は自分の母親の病気を受け入れられないんだと思う。
「確かにおかしな行動はするけど」それでも普通だと、思いたい。

しかし姉はそんな楽観主義ではない。
ハナコさんも義兄も納得しないから、
グループホームは断念したけれど、
どうやったのか、介護保険の申請は成し遂げた。

そして週一回、ヘルパーさんが来てくれて、
冷蔵庫の賞味期限が切れたものを捨ててくれる。


ハナコさんは社交的な人なので、
ヘルパーさんが来れば、にこにこと迎え入れるらしい。

でも、姉には「ヘルパーさんを断って」と言うのだ。

「あの人、よく家の周りをうろうろして、
うちをうかがってるのよ、留守に入り込んでくるかも」
と、妄想のようなことを言うらしい。


義兄は、「本当にそうなのかもしれない」と言う。
んなわけあるか。と姉は思う。



次第に、ハナコさんは義兄のことがわからなくなっていった。

義兄の名前はヤスヒコという(ことにしよう)。

電話をかけると
「ああ、アキオ」
と言われてしまう。

「いや、ヤスヒコだよ」
「うそ。騙されないよ。その声はアキオだよ」

アキオというのは、ハナコさんの死んだ弟だ。

電話だけのことかと思ったら、
実際に逢っても、
「あ、アキオ」
と話しかけるのだと言う。

義兄が家を出たのは10年以上前。おそらく20年近くになる。
時々は実家に帰っていただろうが、
ハナコさんの中のヤスヒコは若いままで、
年を取ったその顔はアキオにしか見えない。


それでも姉のことは忘れていない。
ただ、アキオのお嫁さん、という位置づけなので、
自分の息子の嫁、とは思ってないらしい。


姉夫婦がハナコさんちに泊まり、
3人で朝ごはんを食べていると、
不意にハナコさんが言う。

「ヤスヒコ、よく眠れたかい?」

ああ、今日はちゃんとわかってくれるね、
調子が良いんだね、このままずっと調子が良いかもしれないね。
と二人が喜ぶと、
ハナコさんはこう言う。


「ねえ、アキオは? はやくアキオを呼んで来て。
食べてもらわないと、片付かないから」

(゚ロ゚;)エェッ!? 増えた?



「アキオさんは随分前に亡くなったんでしょう?」
と姉が言うと、
「そうだったかしらねえ?」
と首をかしげる。

あまり深くは考えない。
ニコニコしている。
でも、本当は、自分が理解できていないことがわかっていて、
不安も感じてる。

だから姉夫婦が来ると、
ハナコさんはだんだんイライラしはじめる。

二人がうそをついて、私を分からなくさせている、と言い出す。

ほんの少しずつ、ハナコさんは攻撃性を見せ始めていた。




~5へつづく~


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ハナコさんの症状が進むにつれ、姉からのスカイプも増えていった。

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ハナコさんの病は、とてもゆるやかに進行していった。
進んでいるようには見えなくても、
徐々に、本当に少しずつ、ハナコさんの脳を狂わせて行く。


広い一軒家に一人暮らし。
毎月姉夫婦が訪れるのだが、
いつもと同じくきちんと整頓されていて、
減らない薬以外は、おかしなところはなかったという。


ある日、ハナコさんと姉夫婦が旅行に行こうと、
駅で待ち合わせることになった。
ハナコさんちは、駅からバスで20分。
そこから二駅先まで出てきてもらうことにしたのだ。

でもハナコさんは約束の時間にこなかった。
今まで、何度も繰り返してきた待ち合わせ。
一時間探し回り、
待ち合わせの駅の、違う出口でようやく出会えた。
待ち合わせ場所だけでなく、時間も間違えていたようだった。

ハナコさんは、姉夫婦が間違えたといって
普段からは考えられないほど怒り、
旅行はキャンセルすることになってしまった。


それからしばらくして、
ある奇行が始まった。


ハナコさんちの冷蔵庫は、大きい。
もともと3人家族だったとしても、それでも大きすぎるくらい大きい。
それが、食材でぱんぱんなのだ。
同じものがいくつも出てくる。

亡くなっただんなさんの好物である漬物や
義兄の好きなヨーグルト。

冷凍庫は二段あるのだが、
どちらも冷凍ご飯で溢れている。

ハナコさんは、だんなさんが亡くなったこと、
自分の息子が10年以上前に家を出たことを忘れてしまって
ご飯を炊きすぎてしまうのだ。

あまったご飯はもったいないから、ちゃんと冷凍する。
だけど、冷凍してあることは忘れてしまって
また沢山炊いてしまうのだ。


姉が数日休みが取れて、
ハナコさんちに滞在していた時。
ハナコさんがスーパーに行かないよう、ずっと見張ってたらしい。

「あれ、お義母さん、どこいくんですか?」
「うん、スーパー」
「でも、冷蔵庫に食材たくさんありますよ。
あれで何か作りましょう」
「あ、そっか。いっぱいでしょう、冷蔵庫。私、あれ嫌い」

という会話を、一日何回も繰り返すのだそうだ。

最初のうちは、そうやって言うことを聞いてくれるのだが
夕方になると
「もうスーパーにいかないと、夕飯に間に合わない!」
と騒ぎ始める。
冷蔵庫にあるでしょう、ああ、そうかしら、じゃあスーパーにいってくる。
いやいや、冷蔵庫に。ああ、そうかしら、じゃあスーパーに。
延々繰り返される会話。

なんとか納得させても、
目を離したスキに家を出て、スーパーに行ってしまう。
追いかけて、一緒に行くと、
大量に物を買う。

要らない、と何度言っても、
一度は棚に戻すのだが、また手に取る。


そしてレジで

「わあ、こんなにたくさん買って。誰が食べるの?」

とコロコロ笑うのだそうだ。


ハナコさんのことで、姉が初めて、泣き言をいった。


「アルツハイマーの介護は、私にはできない」




~4につづく~



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おいらにもできない。

おいらは、アルツハイマーと認知症の違いもわかってなかった。
実は未だによくわからない。

しかし、どうやら、その深刻さというのは雲泥の差のようだ。
アルツハイマーは、絶対に進行する。
なにかのきっかけで、劇的に。



初めて逢った時、
姉のお姑さんであるハナコさんは同じ事を20回も聞いたけれど、
それ以外はごくごくフツーだった。
むしろ、フツーよりも好感度が高かった。

もうしっかりおばあちゃんだけれども、
美人で、
おしゃれさんだった。
ピンク色のスカーフを上手にあしらっていて、
うちの母親より、ずっとセンスが良いと思った。

おいらは、すぐにハナコさんと仲良くなった。
だってかわいいんだもん。

おいらはまだマンジロウと出逢ってなくて
「彼氏はいるけど、結婚するつもりはないんですよねー」
って言ったら
「それが一番いいわ! 結婚なんてするもんじゃないもの」
ってコロコロ笑ってた。



いつもニコニコしていて、姉にいやなことを一度も言ったことがない。
優しくて、親切なのだ。
正月に姉がハナコさん宅に行くと、
「ご実家に行きたいでしょう、行っていいのよ」
って言ってくれる人だ。

自分は舅姑と同居で苦労したから、
姉には同居を求めない、ってはっきり言うくらい
芯の強い、しっかりした人なのだ。


姉の新居とハナコさんちは3時間ほどの距離。

姉は医療従事者で、夜勤もばんばんあるから
同居は現実的ではなかったし、
義兄(姉の夫)もハナコさんがいやがってるから、
今はやめておこう、と言ったらしい。


そんな時に、アルツハイマーの診断。

うちの両親は頭を抱え、
「アルツなら絶対に結婚を許さなかった!」と吠えた。
ほんとに吠えた。


アリセプトという薬が処方されて、これは症状の進行をおさえるものなんだけど
それを毎日忘れずに飲む、ということが
ハナコさんにはできない。

一時間ほどの距離のところに、ハナコさんの妹さん(義兄のおばさん)が住んでいて
時々様子を見に行ってくれたらしい。
薬は日にちごとにキレイに整理されているのに
殆ど飲まれていなかった。

家を離れることを、ハナコさんは拒否した。
姉との同居も拒否した。
民生委員の訪問も拒否した。
介護保険の申請さえも拒否。

すんげ頑固だ…
誰かに似ている…


姉が何度も通って、介護保険だけは申請させてください、
ヘルパーさんが通うことだけは許してください、
お義母さんがどうこうというのではなく、
離れて暮しているから、私たちが心配なの。と懇願しても

反対に「自分が情けない」と泣かれて、どうすることもできなかった。


こんなにしっかりとした女性が、どうしてこんなめにあうのか、
おいらにはさっぱりわからない。


~3へつづく~



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人生って、なんで思うとおりにいかないんだろう。


こういう、すごく深刻な病について書くにあたり、
もしかしたら茶化したり、不謹慎に表現してしまうかもしれないけれど、
事が深刻なだけに
明るく受け止めたいおいらの性格だと、ご容赦ください。



最近、じいちゃんばあちゃんの病気について書いて、
たくさんの人から励ましのコメントをいただき、
ほんと、おいら、ブログやっててよかったなーって。
思ってます。ありがとう。


この癌騒動のさなか、
アルツハイマー病についても大きな動きがあったので、
書いてみることにしました。


うちの親族は、アルツハイマーを発症した人がいないので、
基本的な知識がまったくないんだけども、

実は姉の姑が、アルツハイマー。


姉が結婚する時、
夫となる人は立派な経歴を持ち、人格的にも申し分なかったんだけど、
お姑さんが認知症だったので、
うちの両親は大反対だった。


義兄(姉の夫)は、姉よりだいぶ年上。しかもひとりっこ。
お姑さんは当時、70直前だったかな。

その数年前、義兄のお父さんが癌で亡くなり、
それがきっかけになって、認知症が始まった。


結婚までの間は「年齢相応の痴呆」という診断だったけれど
はっきりいって、
そういうレベルじゃなかった。


初めて家族同士で食事をした時。

お姑さんは20回くらい、うちの両親の年齢を聞き、
二人が同い年だと知ると、20回とも驚いて、

「まー、お父さんの方が10は若く見えるわあ」


と20回繰り返し、
母もさすがにイラっとしてたみたいだった。

20回も同じ事を聞き、同じ反応を繰り返す年齢相応の痴呆を、
おいらは見たことがない。


そもそも、70とかで痴呆になったりするのか?

両親はとにかく、姉が介護することに反対

→せっかくのキャリアを全て捨てなければならない
→それどころか、介護がどんなに大変なことか
→施設に入れるにしたって、大金がかかる
→しかも嫁なのに、介護をせずに施設に入れるわけにいかない


嫁は介護しなくちゃいけないのかあ。
おいら憂鬱だな。
マンジロウもひとりっこだもん。
マンジロウ父母をおいらが看るのか。やだな。

普通に元気で居てくれるなら、できるかもしれないけど、
(それは介護とは言わないか)
寝たきりになったり、それこそ認知症になったら、どうしよう?


ま、それはさておき。


姉は両親の反対を押し切って、結婚した。
結婚までは、毎日泣いてた。
本人も、介護のことや自分の将来のこと、不安だったんだと思う。
でも、結婚した。


結婚して半年も経たず、お姑さんの診断が覆った。

アルツハイマーだと、診断されたのだ。


~2へつづく~





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アルツハイマーという病気は、本当に本当に、残酷な病気。



おいらの生まれ育った家は、本当に貧乏だったけど、
両親は仲がよく、姉弟4人大切に育てられた。


それでも、選ぶ恋人のタイプは全く違う。


姉は堅実。
昔から学歴、あるいは社会的地位の高い男しか選ばなかった。
今のだんなも、
昔は一流企業に勤めていて、今は自分で事業をしている。


おいらはだめんず。
自分の夢や目標をしっかり持っていて、
しかもそれが珍しければ珍しいほど惹かれてしまう。

一見いいように思えるが、
実は金がなく、おいらより夢を優先し、いきなりいなくなるような男。


妹は同情から恋に落ちる。
家庭に恵まれなかった男ばかり選び、
なぜか必ず家に連れてくる。

おいらは妹の彼氏全員に、何度も食事を作ってきた。
その度に「家庭ってこんな感じなんですね」とか言われた。



弟は、こんな強烈な姉たちを見て育ってきたせいか、
自己主張が激しく自分勝手な女が好きである。

今の彼女は3人目だが、どれもこれも、
とんでもないキャラの持ち主だった。
特に二番目の彼女は超金持ちで、
マンガの「白鳥麗子」を地で行くような子だった。



姉は4人の中で、一番家庭の金銭的な危機に面して来た。
自分が稼いで、両親を助けなくちゃいけないという自負もあったらしい。
だから手に職をつけたのだし、
夫もしっかり稼ぐ能力を持った男にしたのだと思う、無意識にしろ。


おいらは、よくわからん。
なんでああいう男に惹かれるのか。
ちなみにかなり高い確率でB型。


妹は世話を焼きたいのだと思う。
充分に愛されて育ってきたと思うのだが、
どうも家庭内では無視されがちと感じていたのか、
思春期のぐれかたは、そりゃあ見事だった。

つまり彼女の恋愛は代償行為だ。


弟は言わずもがな。
小さい頃からずーっと姉たちが全て決めてきた。
部活はこれがいいんじゃない、高校はここがいいんじゃない。
服はこんなのを着なさい。
食事のマナーはこうすべき。

だから同じように指図してくれる女の子がいいのだ。
「今日なにしよう?」と聞いて
すぐにやりたいことを言わない女の子はだめなのだ。
「映画はこれをみて、レストランはあそこ」
って言ってくれる子が好きなのだ。



おいらが子供が欲しくなかった理由はかなり多くあるのだが
その中のひとつが
「育て方が不安」である。

おいら自身が不完全でテキトーでだめな人間なのに
偉そうに躾とかできるんだろうか。
なにが正しくてなにがいけないことか、伝えられるだろうか。
ぐれたり、父親を刺したりしたらイヤだなあ。


今でもそれは不安というか、考えると面倒くさくなるんだけど、
うちの姉弟を見てると、
「同じように育っても全然違うんだから、
子供が勝手に育っていくんだろう」
って思う。


あとはマンジロウ父が口出ししてこないことを祈るばかり。




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マンジロウ父母の電話攻撃に弱ってるおいらに、愛のクリックをプリーズ
プロフィール
HN:
あいざぁ
性別:
女性
自己紹介:
ドイツ在住、細々とライター業。
海外転勤につられて、まんまと策略婚。
夫との育ちのギャップに窒息寸前。


夫:マンジロウ。日本人だがアメリカ人的思考。
息子:ゴウ。幼児。

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