旅行の少し前に、マンジロウが言った。
「ねえ、あいざぁも一緒に投資会社の説明会に行こうよ。
説明会は英語だから、あいざぁも勉強になるよ?」
(-゛-メ) ヒクヒク むかつく…
おいら、英語はそれなりに話せるけど、
金融関係の単語とかわかんないし、
なによりスピーチの聞き取りは苦手!
大抵早口だし、聞き返せないし、訛りがあること多いし。
そうだよっ、おいらビジネスレベルじゃねーんだよっ
ちくしょー、屈辱だっ
はっきり「イヤだ、興味ないもん」と言ったのに
なぜかおいらの分も申し込みしたマンジロウ。
まさかおいらのことを、
夫に従順な妻だとでも思ってるのか?
さて当日。
無料ランチだけでも食べに来たかったら、おいでね。というマンジロウを捨て
さっさと一人観光に出かけたおいら。
旅行じゃ無料ランチより時間の方が重要。
しかも「会場がどこかわかんない」というバカを
近くまで送り届けてやる、この親切さ。
大切な時間を無駄にしてまでっ。
こんなに良い奥さんなのに、
マンジロウは待ち合わせの4時に現れなかった。
おいおいおい。
ヾ(*`Д´*)ノ"彡☆ ケンカウッテンノカ!
そっちが4時に終わるから、って言ったんだろうが。
おいらだってもっと美術館でゆっくりしたかったよ!
もし説明会が終わってないとしても、
抜け出してくるのがスジってもんだろ!
しかも外は暴風雨。
近くのカフェは喫煙可。(さすがに身重で入る気になれん)
時間を潰す方法が見つからず、
仕方なく説明会の会場へ入ってみる。
いきなりガードマンに取り囲まれる。
w( ̄△ ̄;)w えっ、ここってあれですよね、
大損ぶっこかされた投資会社の説明会にわざわざやってくる
お人よし集団しかいないはずですよね。
あんたら、一体なにを守ってるの??
守るべき人なんかここにいるの??
仕方がないのでとりあえず、夫が約束の時間に現れないと伝える。
するとイジワルそうなおばちゃんが
「あなたの夫がどこにいるかなんて、知らないわ」
と言う。
わかっとるがなっ (`Д´) ムキー!
誰がそんな高度な技を要求しとるかっ
「いやだから、自分で探すから入れてください」
「それは難しいわね。あなた、電話してみたら?」
うっ
痛いところを突かれた。
実はおいらの携帯、ドイツ国外からかけると
メチャクチャ高いのだ。
マンジロウを探すためなんかに、
一分500円とかかけたくないわけよ。
だから言ってやったね。
「そんなもの、もうとっくに試したわ。繋がらないのよ」
おいら、女優になりました。
それにしても、このおばちゃんを相手にしてても
らちがあかないので、受付まで行ってみた。
「今から受付をお願いできますか?」
んなアホな。と自分でも思ったが、あっさりOK。
マンジロウが登録してたおかげで、簡単スルー。
で、説明会場に入ってみたら、これ。
2000人規模のホールですよ。
世の中、お人よしが多いんだねえ。
でもさ、ここからマンジロウを見つけるなんてムリじゃん。
別に愛してる男ってわけでもないしさ。
恋愛的超能力でもなくちゃ見つけられないよ、これ。
と思ったら!いた!
言っていい? いいかな?
おいらって天才じゃなかろうか。
自分で自分にびっくりだわ。
マンジロウのことだから、前の方の席だろう、
時間ぎりぎりに入っていったから、
通路に近い席だろう、って推測して探したら、
いとも簡単にこれ、見つかりましたよ。
いやそれよりもさ。
4時を過ぎて、
なぜお前はそこに平然と座っている?
そばにいくと、跳ね上がるようにして驚いたマンジロウ。
「すごいね!どうしてわかったの?
あともう少しで終わるから、そしたら行こうって思ってたんだよ!」
と、全く悪びれる様子もない。
ああ、そうですか。と、とりあえず隣に座らせてもらう。
説明会はすぐに終り、そのままジャズのライブに突入。
その後、立食パーティ。
これさ…
おいらが来なかったら、絶対マンジロウ、パーティまで出てこないよね。
むかついたので、
ガツガツ食ってやりましたとも。
エビのマリネが美味しくって、テーブルサーブされたのに手を出したら
「これも食べなさい」っておじいちゃんが色々くれた。
さすがお人よし集団。
マンジロウはワインが美味しいと、ガブガブやってしまい、
すっかりヨッパラって、
夜のコンサートには行けずじまい。
ま、当日券買う予定だったから、別にいいんだけど。
ジャズのプレイヤー、ウィーンフィルのメンバーだったから
なんとなく目標達成した気分だし。
しかし今回のことで、マンジロウのことがよーくわかった。
妻より説明会の方が大事。
身重の妻より説明会の方が大事。
暴風雨の中に取り残された身重の妻より~以下略。
こういうことの積み重ねだね、夫婦の破綻は。
夫婦間の不良債権の回収はおはやめに。
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