おいらは、朝、マンジロウのお弁当を作っている。
ゴウの寝つきが悪いので、よく寝坊するが、
なんとかマンジロウが出勤する前には起きる。
最近、ゴウの寝つきもあるけど、
おいらのなまけぐせのせいで、
かなりギリギリまで寝てしまう。
マンジロウ出勤直前ということもある。
念のため言っておくと、マンジロウは仕事の状況で
勝手にいつもより早く出勤することがある。
そういう時は、おいらの寝坊とは関係ないと思うのだがどうだろう。
弁当の仕込みは前夜にしているので
マンジロウが出かけようとしていると、
仕込みがもったいないから、
「あと15分待てるんだったら、すぐ作るけど?」
と聞く。
するとマンジロウは、じゃあお願いします、と言う。
不機嫌そうに。
先日、やおらマンジロウがこう言った。
「もう、朝、お弁当どうするって聞かれるのがいやなんだ!」
……。
びっくりした。
そりゃ、不機嫌そうだから、
おいらのこと「怠惰なやつめ」くらいに思ってるだろうと
こちらも感づいて不愉快だったけれども。
そんなはっきり言うほどいやだったのか。
「遅刻したくないんだよ、俺は!」
「いや、だからね、
遅刻しないかどうかを確認するために、
15分待てるか、って聞いてるんじゃん。
遅刻しそうなんだったら、ムリって言ってよ」
「だって弁当はほしいもん!」
おいら、絶句。
どういうこと?
弁当はほしい。でも朝に確認されたくない。
確認せずに済むように早く起きろ、ってこと?
いや…
そりゃ、おいらの寝坊が悪いんだよ。
でもね。
ゴウがいなければ、
夜ゆっくり眠れていれば、
朝は起きれるよ。
「いや、だから何度も言うけど、
いらない、って言ってくれればいいんだけど」
「だからそれは言えない!」
「つまり… 朝、もっと早く起きろ、ってこと?」
「そう」
あのさあ、マンジロウ。
お弁当はね、サービスなんだよ。
夕食みたいに義務じゃないの。
おいらのサービスで出してるの。
勝手に食べて欲しいの、おいらだって。
でも君は、弁当がないとポテチとかバナナとかで
ランチを終わらせるから、それはかわいそうだと思って
がんばって作ってるの。
なのに、朝起きろだ?
じゃあてめえが赤ん坊と寝ろ!
一晩中乳飲ませてろ!
と、非常に腹が立ったので
「では、朝は起きられないので、
もうお弁当は取りやめます」
と宣言。
弁当がないと、マンジロウの出勤までに起きる必要もなく
ああ、なんてラクチンなのかしら、
こんなにラクなんだったら、もっと早くからこうすればよかった。
と恍惚のうちに思うのでした。
今回のケンカに負けたのはマンジロウのほうでしょう。
PR