逢わなければならない状況、というのは、成人式だ。
ここで、高校時代の友達と会うことになる。
クラスメートの前で
「あんたの彼氏、頭に虫わいとるな」
とののしるわけにはいかない。
Aちゃんもかわいそうだし、周囲もどん引きだろう。
だから仕方なく、手紙を書いた。
レイプ未遂事件で、おいらはずいぶん傷ついたこと。
今までの人生で一番不快だったこと。
彼氏そのものと、Aちゃんの行動を非難した。
だから、成人式では、話しかけないでほしい。
周りの友人にばれたくなかったら、
おいらを避けるように。
Aちゃんから電話がかかってきた。
一度は話さなくてはいけない、と思っていたので
電話にでた。
そんない傷つけたと思っていなかった、
彼氏がそこまでしたとは知らなかった、
彼氏にも怒った、彼も謝ってくれた、
本当にごめんね。
あのとき部屋を出たのは、
そうすれば彼が私を追ってきてくれると思ったから。
腑に落ちない点は多々あるのだが、
なにかと面倒くさくて、おいらはハイハイと聞き、
まあこれで、成人式で話しかけてくるのは仕方ないとしても
節度ある感じになるんじゃないかと期待した。
(つまり、彼氏を送り迎えにつれてこない、という程度の節度)
しかし、最後の最後で、Aちゃんは言った。
あのね、でもね、彼氏がね、
どうして今ごろ?って言ってた…
決定的だったので、おいらは黙って電話を切った。
レイプ事件から、1年近く経過していた。
1年間、おいらは忘れたことがなく、
成人式で彼女に、そして運が悪ければ彼氏に会うことを
とても恐れていた。
それでも、Aちゃんを傷つけたくなくて
ただ静かに抹殺することを選んだのだ。
成人式さえなければ、一生口をきくことはなかった。
お互いにとって、それが一番いいと思ったのだ。
あのような行動を取る女と、分かり合えると思わなかったし
どうせ利己的な言い訳を展開するだろうとわかっていた。
それでも、どうだ、この一言は。
何一つ反省していない。
この1年の間の、おいらの苦悩やカスのように残った愛情を
まったく考えていない発言。
たとえどうして今頃と思っても、
それはおいらに言っていい言葉ではない。
あ、ゴウがおきたのでこのへんで。
またつづく。
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