おいらの母親は毛が薄い。
頭髪のことではない、体毛の話である。
すね毛やうで毛がない。
しかし頭髪は今もふさふさである。
当然ながら、小さいときからおいらにはそれが普通であった。
それしか知らないんだから、仕方ない。
女性には毛が生えない、おいらはずっとそう思ってた。
おいらが10歳くらいだったころ、
どういう経緯だったかは忘れたが、
叔母つまり母の妹とお風呂に入った。
おいらはこの叔母が大好きで、かわいがってもらっていた。
いつもお土産をもらったし、
優しくしてもらっていると理解もしていた。
なのにおいら、あんなことしちゃって。
飼い犬に手をかまれるとは、まさしくこの事。
おいらは、はだかんぼうの叔母と楽しくお風呂に入り
ある瞬間、衝撃を受けた。
お風呂から上がるなり、おいらは駆け出して
居間にいる母や姉や妹にこう叫んだ。
「おばちゃん、脇にヒゲ生えてる!」
そうなんである。
女性ならわかるだろう。
わき毛の処理をしたんだね、おばちゃん。
それから数日たっていて、生えてきてたんだよね。
それが子供にはヒゲに見えたの。
おいらはおばちゃんを貶めるつもりはなかったんだけど
とにかく衝撃的で、
みんなに知らせなくちゃって思った。
姉や妹は爆笑して、おばちゃんに見せてといって困らせた。
20年以上経って、
今、おいらは
おばちゃんに土下座したい。
忘れてることはないだろう。
脇にヒゲとあれだけ囃し立てられたのだから。
ゴウをお風呂にいれてると、脇ヒゲ事件を思い出す。
おいらはこの経験から、
脇だけは永久脱毛したんだよね。
他人のふりみて我がふり直せ、だね。
ゴウはおいらのへそをおっぱいだと言い張る。
うふふーと笑ってへそを突いてくる。
もう少し大きくなったら、
いろいろ面倒くさいこと言ってくるんだろうな。
おかあさんの乳首はどうして大きいの、とかさ。
てめえのせいだよ!
子供とお風呂はいる前に処理したほうがいいですよ。
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