朝、よく通る道。
小さなレストランがある。
そこのおじさんと、よく出くわす。
おじさんはいつも、じっとおいらを見る。
尋常ではない、熱い視線だ。
おいらを見つけてから、ずーっと、横を通り過ぎるまで。
じっくりじろじろ見られる。毎回。
なんだろ、このおっさん。
アジア人が嫌いなのか?
おいらが通り過ぎる頃に
Morgen!とか言ってくる。
多分、好意的なんだろう、と解釈して
最近はおいらから挨拶するが
それでもやはり、じーっとおいらを見る。
なんだかなー。
なんか変だし、居心地悪いなー。
でもこの道が駅に一番近いんだよなー。
そもそも、なんで彼はおいらをこんなに執拗に見るわけ?
おいらに惚れてるわけ?
んなわけねーじゃん。
じゃあ、なんでおいら狙われてるの?
恋以外で、おいらを狙う理由はなに?
あ、……もしかして。
今朝、おじさんに逢った。
おいらは初めて彼の前に立ち止まり、ドイツ語で挨拶した。
おじさんは、ゆっくり、緊張した様子で
オハヨゴジョマスと言った。
やっぱり。彼は日本語を話したかったんだ。
でも、いつもおいらがさっさと歩いていくので、
日本語が出てこなかったか、声をかけるのをためらったんだろう。
「おはようございます」
と丁寧においらは言った。
おじさんは、くしゃっと顔をしかめ、
苦悩の表情を浮かべて、
「ワケラナイ」
と足早に店に入っていった。
おいらの「おはようございます」が
ヒアリングできなかった模様。
次からおじさんとの会話が楽しみだ。
草の根国際交流、ですわな。
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