一ヶ月ほど前のことである。
ちょっとした工事を発注した。
相場が分からなかったので、二箇所の工務店に見積もりを出してもらった。
Aは、工事のおっちゃんの時給が55€。高い。
しかし同じような工事をしているので、部品等の値段が明記されている。
総額で150€くらいだろう、
もしその他特殊な工事が必要なら別途、という内容。
Bは、おっちゃん時給39€。
ただ、このケースの工事での部品は何が必要かわからず、
おそらく別途必要になる部品については明記されていない。
ここでいう部品とは、おいらんとこのアパートがちょっと特殊な作りなので
それに合わせて、作ってもらわなくちゃいけないもの、のこと。
悩みに悩んだ末、Bに発注した。
工事に必要な情報をハウスマイスターから入手、
Bにメール。
約束の時間に10分遅れてきたが、これはいつものこと。
おっちゃんが来ると思ってたら、意外と若い。
20代前半?わーお、いやな予感。
予感は数分で的中。
来るなり、
工具が足りないことが判明。
おいおい。
30分かけて、取りに戻った。
3時間後。
ええ、賢明な読者様はおわかりでしょう。
3時間もかかるはずがないんです。
そのうえ、
終わらなかった。
開いた口がふさがりまへんわ。
「ちょっと、もう用事あるから帰って」
と追い出した次第で。
「僕の手には負えない。
今日の夕方、ボスから電話してもらう」
というので、待ってましたが
当然、かかってきませんでした。
なんでAにしなかったんだろう…実績あったのに。
これが
安物買いの銭失い、ってやつ?
おいら、ことわざの例文になれちゃう?
数日後、ボスから電話が。
「今からいっていいか!」
わーお。
なんて自分勝手なんざましょ。
そして6時を過ぎているというのに、来ましたよ、ボスと若造が。
そして原因が判明。
おいらがメールで送った情報を全く理解していなかったため
完全に違う配線をやりやがった。
一時間かけて、ボスが修復。
その間、若造はぼーっと眺めていただけ。
後日、請求書がやってきましたよ。
500€ ΣΣ┗(|||`□´|||;;)┛ガーン!!
一瞬で血が沸騰。
アタマの血管が切れそうになりながら明細を読むと
様々な部品の名前に紛れて
「工員時間 5時間」
と書いてあるではありませんか。
5時間?
若造が失敗に3時間。ボスが修復1時間。
若造、眺めてたのが1時間。
ほんとだ、5時間だっ (゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)ヒイイイィィ(゚ロ゚; 三 ;゚ロ゚)ヒイイイィィ
しかもそのうち30分は工具取りに帰ってたのに。
おいら、激しく動揺。
ありえねえ。
殴りこみにいこうかと思ったが、
これから先に続く長い長い交渉を思うとゲンナリ。
だいたい、ドイツ人の言うことって意味わかんねえし。
そもそも、普通の神経してたら
こんな請求書、出せないだろ。
異常な神経の人間と交渉をするのか…つらいなあ…
そこでふと思い出した。
我が家には、マンジロウがいるんじゃないか?
マンジロウの仕事はクレーム処理。
ネゴシエーター。交渉担当者。
(注:役割であって、肩書きではありません)
無理難題押し付けてくるヨーロッパ人相手に
にこにこと自分の会社の利益優先交渉をしている。
あら、こんな身近にプロが。
「マンジロウ、君の腕が活かせるときが来たよっ」
と事の顛末を説明。
Bの社長は英語が話せることもわかっている。
「ふうん。わかった」
と言った、とても頼りないマンジロウ。
大丈夫かしら。
やっぱりおいらがやった方がいいんじゃないの。
マンジロウ、ぼったくりに気付かないタイプだし。
(レストランで明細みるのはおいらですから)
彼は書面で支払い拒否を通知。
その後、Bの社長から連絡が入った。
「じゃあ、400でいい」
社長、いきなりの値下げ。
一体なにが「じゃあ」なのか。
マンジロウ、すかさず400の明細について攻撃。
防戦に苦しむ社長、
雲隠れという荒業に出た。
その後、ある日突然350という請求書が届き、
またしてもマンジロウの攻撃。
こんな日々が一ヶ月。
とうとう先日、
「もう、いくらでもいいから払ってください」
というメールが届いたという。
わぁいヽ(ω・ヽ)(ノ・ω)ノ わぁい♪
マンジロウ、でかした!
「いくら払う?150?」
と、わっくわくのおいら。
マンジロウは「250、払ってくる」という。
えー、なんでよ、せっかくいくらでもいいって言われたのに!
「これが交渉というもんなの」
とマンジロウはさらり。
え、そうなの? 交渉ってそういうもんなの?
あれ?ちょっと今回、マンジロウかっこよすぎない?失敗したわ、このネタ。
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