キクばあちゃんがすい臓癌で余命三か月の宣告をうけてから
今月で3ヶ月目。
まだまだ死にそうにない。
実はじいちゃんの方が
「連れ合いが死ぬかも知れない、いや、確実に死ぬらしい」
というプレッシャーに耐えられず
日々弱っていっている。
癌は見つかった時点でステージ4。
つまり末期だった。
すい臓って、老人でも進行が速いんだね。
痛みが出ないように、という目的で、
ずっと抗がん剤を続けてきていたけれど、
激しい副作用はないものの、
なんとなーく具合が悪くなっていたらしい。
で、このたび、抗がん剤を少しの間やめることにした。
するとばあちゃん、すっげ元気になって、
病気になるまで通ってた編み物教室にも復活。
癌自慢に花を咲かせているらしい。
ばあちゃんは、自分がそう遠くない未来に死ぬということを
こちらが戸惑うくらい受け止めている。
実の娘である母も、受け止めている。
二人の会話はこうだ。
母「葬式、着物じゃなくていいかな」
ば「ええやん、ワンピースで」
母「花はいっぱい飾ってほしい?」
ば「わたしは見られへんから、適当でええわ」
本人と葬式の打ち合わせ。
マンジロウなら受け入れられないだろうな。
おいらはおいらで、
ばあちゃんに赤ちゃん用のケープを編んでと頼んでいるのだが
「もうばあちゃん、しんどいもん」
としらっと断られている。
「せやけど、これから生まれる全部のひ孫にまわすで」
と口説いているが、今のところ編む気配なし。
ばあちゃんの編むセーターや帽子は、
あまりにも前時代的なデザインで、
もこもこしていて、
おいらもたくさん編んでもらったけど、着にくいものばかり。
編んで、と頼むのは初めてのことだ。
おいらにも何か技術があって、
遺せるものを作れたらいいのにな。
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