☆おとついと、昨日からの続き☆
ちょうどその後、マンジロウは二週間くらいの長期出張に出てしまい
連絡がぷっつり途絶えた。
このままフェイドアウトしちゃおう、おいらはそう考えてた。
しかしマンジロウ父のネタはおもしろいので、
友達に話しまくった。
大抵はバカ受けだったけど、仲のいい友達がこう言った。
「いいんじゃない? 結婚しちゃえば?」
当時のおいらにとって、結婚は、やはりドロドロに惚れた男とするものだった。
好きでもない男と、条件がいいからってだけで結婚するのは、
すごく間違ったことだと思ってた。
「あんたね、このままでいいと思ってるの?
ライターなんて、若くて安いお金で働く子がどんどん出てくるんだよ。
大御所になるキャリアもないし、コネもないあんたが、
このまま同じ生活できると思ってんの?
次の男が結婚してくれるって、思う?
次の男がお金持ってると思う?
このままじゃねえ、
あんた、路頭に迷うよ」
このセリフは効いた。
その通りだと思った。
どうせ次においらが惚れる男も、同じだ。
甲斐性なしで、無責任で、自分の夢を追いかけるのだ。
今までの男たちは、おいらがドロドロに惚れたヤツばかりだったけれど
それでも最終的には愛情が冷めた。
今惚れてても、それが続くとは限らない。
だったら、最初から惚れてなくてもいいんじゃない?
今から思うと、あいざぁ父の猛烈アタックのせいで、
おいらはマンジロウの気持ちを確かめたわけじゃないのに
おいらの一存でマンジロウと結婚できるような気になっていた。
そりゃあ、マンジロウだって、
おいらのこと気に入ってるからデートしてたんだろうけど
そこから結婚に飛躍する人間ってあんまりいないよね。
しかし、そんなことはそっちのけで、おいらはこう思った。
悪くないかもなあ。
ドイツなら言葉も苦労しないし、興味がある国だ。
海外で暮らす、なんて、おいらにゃ一生縁がないと思ってたけど
そんな経験ができるなんて、こりゃチャンスだよね。
そんな時、帰国したマンジロウから連絡があった。
「オヤジが、前の時に神戸のフレンチに一緒に行くって約束した、って
言うんだけど、本当なの?」
もちろんウソである。
やるな、マンジロウ父。
しかし、おいらは前向きだったので
「あー、そんなこと言ってたかも」
と受け入れた。
というわけで、父親同席のデート、二回目に突入。
あの、ちゃんと日本に発つまでには、終わると思うよ。ほんと。がんばる。
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