友達が養子を迎えた。
いきなり話題がそれるけど、養子って「もらう」って言うよね。
おいら、この表現に抵抗がある。
昔は抵抗なかったよ。出産してからだな。
もらう、ってなによ。って思う。
手放した親が、子供を育てられない状況だからといって
痛みもなく放り出すわけないでしょ。
養父母の方だって、望んで待ってやっと出会えた子供なのに
それを物みたいにもらう、って。どうよ。
なので、「迎える」にこだわって書きました。
どうでもいい話なんだけど、ちょっと触れておこうかと。
でも今日はおいらの友達の話を書きたいのよ。
彼女は中国人。日本に住んでる。
日本人の男性と恋をした。
子供の頃来日したので、発音は完璧ではないものの
かなり日本語はできる。
彼は、大阪に住んでいるけれど、
実は地方の、代々特定郵便局を経営してきた名士の跡継ぎ。
当然実家は大騒ぎの大反対。
逆に、中国人の友達の家族は
「よくぞ玉の輿をゲットした」と大賛成。
絶対手放すな、と娘を脅す始末。
おいらの友達、仮にRちゃんとしよう。
Rちゃんと彼氏は、どんなに反対されても別れず、
結局、「ふたりでちゃんと家を継ぎます」と宣言して
結婚した。
おいらはこの「ふたりでちゃんと」を聞いて、
実はがっかりした。
Rちゃんはフランスのソルボンヌ大学に留学までした才女だ。
その気になれば、どこでも活躍できる女性なのだ。
彼にはむしろ「家督は弟に譲るから好きにさせろ」と
家を飛び出して欲しかった。
弟を思いやったのかもしれないけどさ。
二人は3年、大阪で暮らした。
でも、実家からの再三の要請があり、田舎へ戻ることにした。
問題は、子宝に恵まれていなかったことだ。
Rちゃんのママの押しがあり、
二人は結婚直後から不妊治療にあたっていた。
まだ高齢出産というわけではないし、
すぐにできるだろうに、なぜ急いで治療を、と思ったけど
どんなにがんばっても、子供はできなかった。
理由はわからない。
いやもしかしたら、わかっているのかも。
でもそんなの、周囲に言ったりしないよね。
子供ができないまま、田舎の名士の家に入る。
これがどういう意味を持つか、わかるかな。
一生、おばあちゃまや、姑舅の介護に明け暮れ
ちょっと外出するにも口を出され、
自由をかなり制限される生活が続くということ。
しかも人種という、どうしようもない部分で
「家」には気に入られていない。
奴隷同然の生活を想像するのはおいらだけだろうか?
Rちゃんのママも、それを心配したのだろう。
だから不妊治療をさせたのだと思う。
子供がいれば、
それだけで場が明るくなるし
子供関連の外出や付き合いは認められ
「嫁」だけでなく「母」として存在できる。
必要な人間になれるのだ。
こうやって考えると、子供ってすごいな。
Rちゃんて、頭が良くて、おっとりした感じの女性なんだけど
大国から渡ってきて苦労しているだけあって、
なかなかちゃっかりしているというか、したたかというか、
「すげえ」と思うことも多い。
苦労が目に見えている「嫁入り」を
進んで受け入れているのは、
多分彼女も「名士」になりたいのだと思う。
彼と付き合っていた時も、彼が好きというよりは
「育ちがいい」とか「山を持ってる」って話が多かったしなあ。
でも子供はできないし。
実家は痺れを切らしてるし。
どうするんだろうか、と思っていたら、
「子供ができました!」と連絡があった。
5ヶ月の女の子だった。
「いつ????」と思ったら、養子だと言う。
あー、よかったなあ。
本当にそう思った。
うれしそうなRちゃんの笑顔。
目の大きな、かわいいあかちゃん。
舅姑はなんて言ってるのかね?
中国の血が混じらなくて、いいわって言ってるのかな。
それとも先祖代々の血筋が絶たれたと思ってるのかな。
養子って、まるで子供を授かるみたいなものだよね。
どんな子がいいかって選べない。
性別も、容姿も。
(選べるなら、男の子を選んだろうね、二人は)
縁があってやってきてくれた子を受け入れ、育てる。
自分で産んだかどうかなんて、
きっと全然関係なく、愛するよ。
愛さざるを得ないよ。
だってかわいいんだもの。
親を必要としているんだもの。
Rちゃん、よかったなあって思うと同時にね、
こんなかわいい子を手放した親の気持ちを、おいらは思う。
つらかったろうな。
でも、偉いよあなたは。
中絶する道もあっただろうに、
きっと周囲に反対されながら、それでも産んでくれたから
Rちゃんも、あかちゃんも、
今は幸せでいられている。
育てられないなら、中絶したほうがいい。
幸せにできないなら、中絶したほうがいい。
おいらも昔はそう思ってた。
でもね、やっぱりね、
おなかの中でピコピコ動いてる胎児を見てたからね。
そして生まれてきたあかちゃんの、
あの圧倒的な生命を見ているからね。
育てられない状況で産んでも、
ちゃんとこうして、必要としてくれる人のところに
介してもらえるんだな、って、
前から知ってはいたんだけども、
実例を見て、いろいろ考えた。
女の子は、これを知るべきだね。
学校で教えるべきだよ。
子供を作らない方法を教えるなら
同時に、それでもできたら、こういう方法があるって
教えるべきだよ。
書いてるうちに方向がずれ、まさかの着地点。
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