入院していた産科で、いろんなママさんに出会った。
初産のママさんで、ちょっと思いこみが激しいひとがいた。
名前はトモちゃんにしよう。
トモちゃんは最初から衝撃的だった。
おいらと同じ日に出産したのだが、
授乳室で出会った時
しきりに子供の耳を触っている。
どうかしたかと聞くと、
「耳が、ぺちゃんこ…」
と
泣きそうな顔をしている。
( ・◇・)?(・◇・ )
耳…?
喉まで出かかった。
「大きくなって柔道でも始めたら、
どうせギョウザ耳になるんだから」
しかしそんなことを言おうものなら
首でも絞められそうなせっぱつまったものを感じた。
トモちゃんはおっぱいの出が良くなくて
だったらミルクをたせばいいのに
なぜか完全母乳を頑張っている。
退院後の一週間検診でトモちゃんに逢った。
「夜泣きがひどくって…
便秘もひどくって…」
とげっそりしている。
それっておっぱいが足りない症状なんでは?と思ったけど
さすがに言えなかった。
トモちゃんは真剣なんである。
「この間ね、
夜中に病院に電話して、
ミルクをあげてもいいか相談したんだ…」
オットォ!(・oノ)ノ
おいらが産んだ病院は夜中でも相談を受け付けてる。
しかしそんな相談まで受け付けているのか…
すげえな。
「ミルクをあげていいよって言われたけど、
やっぱりあげなかったの…」
最初、彼女のことを奇妙なひとだなあと思ってたけど
この話をきいて、
すっごくせつなくなった。
彼女は子供を愛していて、
完璧な子育てをしようと真剣なのだ。
おいらみたいに
「生きてればいい」
という低い目標設定はしていないのだ。
今はミルクで、
次はおすわりの時期、はいはいの時期、
あるいは離乳食でも同じように悩むんだろう。
えらいなあ。
おいら、そんなのできない。
本気でどうでもいい。
でもママはそういうことで真剣に悩むもんなんだ。
ありがたいねえ、トモJr.
ママの愛情を感じて大きくなれよ。
ゴウはね、
どんなに愛情かけたって、
大きくなったらすぐにどこかへ行っちゃうよ。
だからおいら、いつでも手が離せるようにしたいんだ。
生きてればいい、って、その時も思えるように。
これも、ママの愛情でしょ?
ママの愛は、一度うざくなって、時間が経ってからいとおしくなる。
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