3年ほど前、知り合いの編集コトリさんに頼まれて、料理教室をやった。
なんてかっこいいこと書いてるけど
後にも先にも、これ一回だけ。
会場はコトリさんの高層マンション。プライスもお高そうでございました。
編集さんってイベント上手な人が多いんだけど、
コトリさんも面白い人で、
後輩の結婚祝いに、料理教室をしたいという。
おいら「あのー。こんなパチもん(偽物)じゃなく、ちゃんとした人に頼んだ方が…」
コトリ「マンション買ったからお金がないのよ。
だからこんなのでごまかそうとしてるんでしょ」
……コトリさん、おいら、あなたが大好きです。
コトリさんの後輩は、おいらも一緒に仕事をしたことがある人なので、
もちろん無償で引き受けましたよ。
材料費なんかはコトリさん持ち、ってことで。
どうせやるならにぎやかな方がいいから、
独身一人暮らしの女性も誘って、全部で6人。
おいらね、料理教室ってどうやるのか知らないんだよね。
たぶん、何か作るんだよな…。
おいら「コトリさん、おいら、何をしたらいいんでしょう?」
コトリ「あんたが差し入れしてくれるやつ、あの子好きみたいだから
そういうの作って
お茶濁したら?」
コトリさん…これ、あなたの企画ですよね?
料理教室というよりは、パーチーみたいなのがいいんだろうな、と思い
当日ワインを買い込んで、
集合時間までにおつまみを作った。
コトリさんの真新しいマンション、大変使い勝手のいいキッチン。
離婚していいもの手に入れましたね、コトリさん。
トルティーヤチップス山盛りに
「手作りサルサ」「アボガドディップ」「マッシュルームのディップ」
「カツオのたたき」「鶏肉の梅あえ」
なんかを作ったような気がする。
ええ、ワインなんて無視です。
そんで、そのレシピをプリントアウトして、渡す。
終わり。
コトリ「却下」
そうですね、料理教室じゃないですね、これ。試食会ですね。
というわけで、「これじゃ怒られるかな」と用心深いおいらは
ちゃんと他にも材料を買っていたので、
全員が集まり、ワインもすすんでみんなの舌がバカになったところで、
おもむろにミートソースを作り始めたのです。
「よいですか、結婚しても仕事を続けるなら
使いまわしできる料理を覚えなさい」
「一日目はミートソーススパゲティ。
二日目はラザニア。
三日目はパプリカに入れてオーブン焼き。
四日目はピザ。
五日目はコロッケ、その他ドリアやオムレツもいいですね。
ラザニアはめんどくさかったら、市販の「あとは焼くだけ」グラタンを買って
その上にかけてもそれっぽくできます。
コロッケ揚げるの面倒なら、ふかしたジャガイモに…」
コトリ「先生!
そんなにミートソースばっかり食べたくありません」
新妻「あの、それより一週間ももつものなんですか?」
ちょっと冗談めかしただけなのに…。
「あとね、料理道具は自分の好きなもの一気に揃えた方がいい。
料理は毎日するから、できるだけストレスがないように、
多少高くても、好きなデザインと使いやすさで選らんでね。
おいらが買うほうがいいと思ってるのはゴム製のスケッパー。
パンの生地とかを切り分けるものなんだけど、
ニンニクのみじん切りとか、トマトのスライスとか、
鍋に入れるまでに手でかきあつめるより
スケッパーのほうが断然、楽。
はかりは、新しく買うならデジタル。
ばね式は場所をとるし、弱ってくるしね」
おおお、みんなのおいらを見る目が
「先生っ」って感じになってきてる!
それからも使いまわしできる料理の座談会。
ミートソーススパゲティを食べながら、
楽しいひと時を過ごしたわけです。
………、後輩、離婚したんだって。
イッタイナニガアッタンダロウ。
おいらの使いまわし料理が原因じゃありませんように!
もう毎日料理つくりたくないねーん、とお思いのあなた。怒りをクリックにぶつけてみましょ。
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