マンジロウね。
方向音痴なんですよ。
おいら運転できないんで、もっぱらマンジロウが運転手なわけですが
ナビなしではどこにもいけません。
そういう人は、多いでしょ?
おいらは方向というか道順というか地図は、強いほうです。
でも口出しするとマンジロウ不機嫌になるので、黙ってます。
マンジロウがどれくらい方向音痴か、という話をすると。
毎週末、買出しに行く市場があるんだけど
そこへ行く道が工事で封鎖されてたのね。
実際には一車線は空いてたと思うんだけど
ドイツの封鎖の柵ってわかりにくいよね。
日本のみたいに使えない車線をすべて覆ってなくて、
細長いのが立ってるだけだったりして
一瞬だと判断ができなかったりする。
マンジロウは一瞬でパニックになり、
ぱっとハンドルを切ったわけ。
毎週末行ってる場所だから、さすがにナビは使ってない。
「封鎖されてる! 封鎖されてる!」
と騒ぐんだけど、
封鎖されてたってさ、ぐるっと回れば済む話なんだよね。
ややこしい道じゃなくて
四角いブロックが並ぶ場所なんだしさ。
でも、マンジロウ、突然…
家に帰った!
「えっ? ねえこれ帰り道? 市場行きたいんやけど」
びっくりするおいらに、
マンジロウは家付近に戻ってから、再度市場に向かった。
なんと彼は
同じスタート地点からでないと行けないくらい方向音痴
であることを、おいらも初めて知った。
おまけに、市場付近まで戻ると
「戻っても封鎖されてるから着けないぞ」
という意味不明の発言。
もうおいら、びっくりしすぎて絶句。
けど絶句してたら市場にたどり着けないから
「この信号右に曲がって、そんで左に行ったら
いつもの道に戻るから」
と指示。
「ほんとか? そうかあ?」
と言いながら、車を進めるマンジロウ。
そして一言。
「ほんとだ…あいざぁすごいな!」
あんたのほうがすごいよ、マンジロウ。
ほめられても全然うれしくなかった。
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