ドイツには骨なし鶏もも肉がなく、
豚や牛の薄切りがない。
あと鶏ミンチもない。
塊肉を凍らせて、
半解凍して薄く切る、というのを ネットで知ったが
涙なくては読めなかった。
ドイツに暮らす日本人女性のこの健気さ。どうよ。
おいらはそういうの面倒なので、しない。
肉屋のおばちゃんと仲良くなって
世間話ができるようになった頃
「ハムみたいに薄い肉が欲しいんだけど」
と、かなりの勇気を出して言ってみた。
それが拍子抜けなくらい、あっさりやってくれた。
豚バラは骨がある場合が多く
店によっては機械が痛むから、と断られたこともあるし
気にせず骨ごとスライスされて、
食べる時に苦労したこともあった。
骨のない部位ならどこでも薄切りにしてくれる。
今は、一番上手な肉屋さんで
豚バラの塊に骨がなさそうなのを見つけたら
薄切りを頼む。
言わなくても、皮も取ってくれる。
これはいい。
味をしめたおいらは、
行きつけの鶏肉屋でも頼んだ。
もも肉の、骨を外してもらえないかしら?
これもあっさりOK。
骨の分の重さも料金にはいるが、
これはもらって帰って、スープにする。
が。
今まで何度も試したが、
おいしいスープが取れたことがない。
骨が少ないのかと思い、
冷凍保存で骨を貯め、
スープを取ってみたが
薄いスープしかできないのだ。
なんでやろう?
と毎回不思議でならなかったが、
今回、なんと 大量の新鮮な鶏がらが手に入った。
鶏肉屋のおっちゃんに
「骨でスープを作るんだけど うまくいかないんだよねー」
と漏らしたら
「これ持って行きな」
と両腕で抱えるくらいの鶏がらをくれた。
内臓と胸肉を取った、 アバラと脊椎だ。
「まじでー! お金払うよ!」
と思わす言ったけど、
「だって捨てるんだから、いいよもってけ」
と笑ってくれた。
「いつでもあるから、言ってよ」って。
泣ける。
ドイツに来て人情に泣かされるのは何度目だろう。
とにかく、 これだけ新鮮で大量の骨、
しかも結構肉もある、
今回はおいしいスープが取れるはず!
と意気込んだが やっぱ美味しくなかった。
薄い。
煮込みが2時間じゃ短いのか?
それに、新鮮だからなのかなんなのか
血が止まらなくて、スープが濁った。
まずい。
次回、おっちゃんに「美味しかった」と
言わなくちゃならないのに。
鶏がらはまだまだある。
おいらはネットでスープの取り方を研究した。
今までは母親のやり方を真似ていたが
どうもうまくいかない。
母はこれで美味しいスープを作っていたが。
骨をぶつ切りにすると 中から血が出てくる。
綺麗にするために、 熱湯でゆがくことにした。
水にあげ、更に洗う。
しかし洗っても洗っても血が出てくる。
どうしたらいいんだ。
しかもえぐいな、この骨格。
ああ生き物だ、と容赦なく思わせる。
内蔵を守り、体を支えた骨を
ぽきぽき折ってるんだなあ。
血が出るっておいら文句言ってるけど
だって生きてたんだもん、
骨を割ったら真っ赤だって、
当たり前じゃんね。
ありがたくいただきます。
どこも残さず、
骨もしっかり煮出していただきます。
しょうがににんにく、ネギとれもんを入れ
今まさに台所でことこと煮込んでいる。
今度こそ美味しいスープが取れますように。
ルクルーゼいっぱいの骨が3回分て。
PR