日本を発つ、数日前。
マンジロウ父に呼ばれた。
手にはDHL(国際宅配便)の伝票。
「あいざぁさん、これの書き方を教えてくれないかね」
はあ…。
これって、何かを送るっていう意思表示だよな…。
実は、マンジロウは実家からの援助を嫌がる。
ドイツに暮す前、マンジロウはアメリカに住んでいたのだが、
マンジロウ父母がどんなに日本食レトルトを送ると言っても
拒否し続けたらしい。
その土地のもので生活すべし、が信条なのだ。
だからマンジロウ父は国際郵便の書き方を知らない。
(実は住所も知らない)
おいらが逡巡したのが伝わって、マンジロウ父は涙目になった。
「ゴウがいなくなっても、きっとゴウのことばかり考えるよ。
かわいい服を見れば、着せてやりたいと思うし、
寒い日には柔らかな毛布を送りたいと思うよ。
送り方さえわかれば、本当に送ることができる。
でも、わからなければ、
ゴウに似合う服を見つけるたびに、私は悲しくなるよ」
柔らかな毛布、あたりでおいらも涙目。
よ~し、送って来い!
誰かに愛される幸せと、誰かを愛せる幸せ。
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