クリスマスまでマンジロウ父の咳が止まらず、
子供にうつしちゃいけないという良識のおかげで、
平和な日々を送ったおいら。
マンジロウもクリスマス休暇で駆けつけたが、
マンジロウ家宿泊だったので、おいらラクチーン。
咳が止まったので、マンジロウ家に遊びに行くことになった。
当然「お泊り」のご要望があったのだが、
マンジロウ父が後れをとっている間に
ゴウがあいざぁ父としかお風呂に入ってくれなくなった。
他の人間がゴウをお風呂に誘っても、イヤだ、と首を振る。
むりやり風呂に入れると、泣き叫び、蹴りまくり、
えらいことになるのだ。
おいらはかろうじて家のお風呂には入れられるが、
温泉とかお風呂屋さんとか
知らないお風呂は、だめ。泣き叫んで逃げる。
というわけで、マンジロウ家のお風呂にゴウをいれるのは
おそらく難しい。
おいらの父しか一緒に入ることができない、というと
マンジロウ父は意地になるだろうから、
家のお風呂以外はだめになった、と伝えると
意外と素直に認めてくれた。
というわけで、
マンジロウ家に遊びに行き、
夕方ゴウを連れて実家に帰った。
マンジロウは駅まで送ってくれ、
実家までの数駅分、切符を買ってくれた。
「はい、どうぞ」
妻に切符を買うことが、スマートだと思っているかのように
なぜか紳士的な微笑を浮かべていた。
差し出された、
二枚の切符。
おいらの家まで送ってくれるのか?
「なんで二枚?」
とおいらは聞いた。
するとマンジロウは答えた。
「もう、あいざぁったら。
ゴウの分でしょ 」
えええええええええええええええええ?
子供切符でさえないんですが。
「………、ゴウはまだ要らないんですが」
つい敬語になるおいら。
「あ、そっか」
ものすごく普通に納得するマンジロウ。
マンジロウはさっときびすを返し、
みどりの窓口に向かった。
みどりの窓口には長い列ができている。
「マンジロウ、改札口で返金してくれるよ」
と声をかけたが、
さわやかに手を上げてこたえるだけのマンジロウ。
「……マンジロウ、おいらもう行くね」
と、置き去りにして家に帰りました。
家に帰ってから電話したら、「みどりの窓口では返金してくれないんだねえ」とびっくりしてたマンジロウにまたびっくり。
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